職務経歴書の書き方に悩む薬剤師は多いです。職務経歴書の作成は転職活動の重要なステップです。薬剤師の経験や資格を効果的に伝えることで、採用担当者に強みを理解してもらえます。
この記事では、薬剤師が職務経歴書を効果的に作成するポイントを解説します。記事を読めば、経歴やスキルを適切にアピール可能です。
職務経歴書の基本項目と書き方
職務経歴書には、以下の基本的な項目があります。
- タイトル・日付・氏名
- 職務要約(概要)
- 職務経歴(詳細)
- 活かせる知識・経験・技術
- 取得資格
- 自己PR
適切な記載で採用担当者へ効果的にアピールが可能です。
タイトル・日付・氏名
職務経歴書の最初に記載するタイトルや日付、氏名は採用担当者が最初に目にする情報であり、第一印象を左右します。
以下のように記載することが大切です。
- タイトル:職務経歴書
- 日付:提出日
- 氏名:フルネーム
簡潔で明瞭な情報提供で、採用担当者に良い印象を与えます。誰の職務経歴書であるかが一目でわかるようにしましょう。
職務要約(概要)
職務要約は、現在の職業と経験年数を一言でまとめ、専門分野や強みを簡潔に記載します。
具体的には、以下のとおりです。
調剤薬局の勤務経験 | 薬剤管理や処方箋の確認、患者さんへの服薬指導を担当しました |
病院薬剤師の経験 | チーム医療の一環として病棟業務や医薬品情報の提供を行いました |
ドラッグストアの勤務経験 | OTC薬の販売や顧客対応、健康相談などに幅広く対応しました |
製薬会社の勤務経験 | 医薬品の研究開発や製造過程の管理にも携わりました |
上記の経験により、幅広い薬剤師業務に対応が可能です。患者さんの健康と安全を第一に考え、常に最新の医薬品情報を学び続けています。
職務経歴(詳細)
職務経歴は以下のとおりです。
- 勤務期間:年/月
- 勤務先名:会社名および部署名
- 職務内容:業務内容
具体的な業務内容を以下のように詳しく書くことで、自分の経験やスキルを具体的に伝えられます。
勤務期間 | 2010年4月〜2014年3月 |
勤務先名 | 調剤薬局A社 |
職務内容 | 処方箋調剤業務を中心に担当。薬歴管理を徹底し、患者さん一人ひとりに合った適切な服薬指導を提供。患者さんからの信頼を得て医療サービスの質を向上しました |
勤務期間 | 2014年4月〜2017年3月 |
勤務先名 | 病院B |
職務内容 | 入院患者の薬剤管理を担当。チーム医療の一員としてカンファレンスに参加し、他の医療スタッフと連携して総合的な患者ケアに貢献。薬品情報の提供を通じて医療スタッフの知識向上をサポートし、患者さんの治療効果を高められました |
勤務期間 | 2017年4月〜2019年9月 |
勤務先名 | ドラッグストアC社 |
職務内容 | 一般用医薬品の販売や健康相談の対応を行う。店舗運営に関するマネジメント業務も担当し、売上向上に貢献。スタッフの教育や店舗の在庫管理を行い、効率的な運営を実現。顧客満足度を高めました |
勤務期間 | 2019年10月〜2023年9月 |
勤務先名 | 製薬会社D社 |
職務内容 | 医薬情報担当者(MR)として医療機関への情報提供を行う。新薬のプロモーション活動を通じ医療現場での薬剤の認知度を向上。学会での発表および資料作成を担当し、業界内での知識共有に貢献。製薬会社の信頼性を高められました |
活かせる知識・経験・技術
活かせる知識・経験・技術は以下のとおりです。
- チーム医療への貢献:医療チームの一員として連携し、患者さんの治療に貢献
- 医薬品の在庫管理:在庫の適切な管理を行い、必要な薬剤を確保
- 服薬指導経験:患者さんに対する正しい服薬指導を実施
- 医薬品の安全管理:医薬品の安全な取り扱いと管理を徹底
取得資格
取得資格は下記を参考に記載してください。
- 資格名:正式名称
- 取得年月:年/月
- 資格の詳細:簡単な説明や関連する職務
薬剤師の取得できる資格は多岐にわたります。職務経歴書の記載で転職活動を有利に進められます。薬剤師免許は基本ですが、他の資格は以下のとおりです。
- 登録販売者資格
- 認定薬剤師資格
- 認定実務実習指導薬剤師資格
- 医薬品情報担当者(DI)資格
- GMP(Good Manufacturing Practice)資格
- 医療安全管理者資格
- がん薬物療法認定薬剤師資格
- 急性期認定薬剤師資格
- 糖尿病薬物療法認定薬剤師資格
- 感染制御認定薬剤師資格
- 精神科薬物療法認定薬剤師資格
- 小児薬物療法認定薬剤師資格
- 緩和薬物療法認定薬剤師資格
上記の資格を持つことで、特定の分野に特化した知識や技能の保持をアピールできます。薬剤師の経歴を効果的に伝えるために、資格を記載しましょう。具体的な資格の名前と取得年を記載することで、より信頼性のある職務経歴書を作成可能です。
自己PR
自己PRでは、強みや特技を具体的に記載します。志望動機と関連付けることで、採用担当者に自分がなぜ会社を選んだのかを明確に伝えられます。自己PRの具体例は以下のとおりです。
私の強みはコミュニケーション能力が高いことです。薬剤師として患者さんや医療スタッフとの円滑な関係を築くことが重要だと考えています。信頼関係が深まり、業務がスムーズに進むだけでなく、患者さんへの適切なサポートも行えるからです。
10年以上の実務経験があり、幅広い薬剤知識を生かして迅速かつ正確な調剤業務が可能です。ミスのない調剤を心がけ、常に最新の医薬情報や技術を学び続けています。
以下の強みが職場で役立ちます。
- 協力して業務遂行ができる
- 問題解決能力が高い
- 柔軟に対応ができる
具体的なエピソードを交えると、自己PRを強化することが可能です。
» 薬剤師のための自己PRの書き方を解説!
薬剤師の経歴を効果的に伝えるコツ
薬剤師の経歴を効果的に伝えるコツを、以下の勤務経験ごとに解説します。
- 調剤薬局の経験
- 病院勤務の経験
- ドラッグストアでの経験
- 製薬会社での経験
上記の具体的な事例や成果を交えて説明することで、職務経歴書や面接で強みを最大限にアピールできます。
調剤薬局の経験
調剤薬局での経験は、薬剤師のスキルの向上に重要です。
以下の要素があります。
経験 | 内容 |
調剤業務の経験年数 | 多くの処方箋に対応することで、迅速かつ正確な調剤が可能です |
患者対応 | 正しい薬の使い方や副作用の注意点を伝える能力が求められます |
保険請求業務 | 経営に貢献するための知識と実践経験が重要です |
在宅医療や訪問薬剤管理指導 | 患者さんの生活環境に応じた薬の管理ができます |
薬歴管理と服薬指導 | 患者さんの健康管理に役立ちます |
調剤過誤防止 | 患者さんの安全を守るために重要です |
チーム医療での連携 | 他の医療従事者と円滑にコミュニケーションを取る能力が必要です |
新人教育やスタッフの指導 | リーダーシップを発揮できます |
調剤機器やシステムの使用経験 | 業務の効率化に役立ちます |
調剤薬局での経験は薬剤師の成長に欠かせません。経験を生かすことで、より質の高い医療サービスを提供できます。
病院勤務の経験
病院勤務では、以下の業務経験が重要です。
- 内科、外科、救急科での薬剤調整および管理
- 投薬カウンセリングおよび患者指導
- 薬剤の選定と病院内在庫管理
- 医療チームとの協力および多職種連携
- 薬剤情報提供(DI)および教育活動
- 服薬指導計画の作成および実行
- 臨床試験のサポート業務
- 薬剤の副作用モニタリングおよび報告
- 電子カルテシステムの操作および記録管理
- 継続的な薬剤知識のアップデートと研修参加
上記の経験により薬剤師のスキルが強化されます。病院勤務の経験は総合的な薬剤管理能力を高めるため、他の職場でも高評価が可能です。
ドラッグストアでの経験
ドラッグストアでの経験では、以下のスキルが身に付きます。
経験 | 内容 |
OTC薬の販売と説明 | 薬の知識と接客スキルが向上 |
健康食品やサプリメントの提案 | 顧客の健康管理に貢献 |
顧客の薬に関する相談対応 | コミュニケーション能力向上 |
店舗の商品管理や在庫チェック | 管理能力を育成 |
新製品のプロモーション活動 | マーケティングのスキルを向上 |
クレーム対応と顧客満足度向上策の実施 | 問題解決能力の強化 |
店舗スタッフの教育と指導 | リーダーシップの研さん |
会員プログラムの運営と管理 | 顧客関係の構築と維持 |
店舗の売上報告と分析 | ビジネスの視点を獲得 |
店内レイアウト変更とマーケティング施策の実施 | 創造性と戦略的思考 |
上記の経験を積むことで、薬剤師の総合的なスキルが向上します。
製薬会社での経験
製薬会社での経験は、新薬開発において多岐にわたるスキルを習得する機会です。
具体的な業務は以下のとおりです。
- 新薬開発プロジェクトに参加し、臨床試験の設計と実施を担当する
- データ解析を通じて、薬効の評価と副作用のモニタリングを行う
- 規制当局への申請書類の作成および提出をする
- クロスファンクショナルチームと協力し、プロジェクトを円滑に進行する
- 品質管理プロセスの改善提案と実施を行い、製品の品質向上に貢献する
- 研究開発部門と製造部門の連携を強化し、生産効率の向上を図る
- 学会やセミナーでの発表を通じて、最新の研究成果を共有する
- 新薬の市場投入後のフォローアップと顧客サポートを担当する
- GMP(Good Manufacturing Practice)の遵守を徹底し、製品の安全性を保証する
- プロジェクトマネジメントスキルを生かし、進行管理と予算管理を効率化する
上記の業務を通じて、製薬会社での経験は幅広い知識とスキルの習得につながります。
職務経歴書の書き方のコツ
職務経歴書の書き方のコツは以下の点から解説します。
- パソコンで作成する際のポイント
- A4用紙1~2枚にまとめる
- 「です・ます」調で簡潔にまとめる
コツを押さえると、効果的な職務経歴書を作成できます。
パソコンで作成する際のポイント
パソコンでの職務経歴書の作成には、以下のポイントを押さえると効果的です。
- WordやGoogleドキュメントを使用する
- フォントは見やすいものを選ぶ
- 適切なフォントサイズ(10.5~12ポイント)にする
- 箇条書きや段落を使って読みやすくする
- 見出しやセクションで情報を整理する
- スペルチェックと文法チェックを利用する
統一されたフォーマットで文書を作成し、PDF形式での保存をおすすめします。フォーマットが崩れることなく、異なるデバイスでも同じように表示可能です。
A4用紙1~2枚にまとめる
限られたスペースに、必要な情報を効果的に詰め込む工夫が求められます。
以下のポイントを参考にしてください。
- 専門用語は避け、一般的な言葉を使う
- 簡潔にまとめる
- 要点を箇条書きで整理する
- 各項目に関する具体例を含める
- 採用担当者の視点で書く
- 重要な情報を優先的に記載する
- 適度な空白を設けて見やすくする
具体例は以下のとおりです。
- 調剤薬局での勤務経験:5年間
- 病院薬剤師の経験:3年間
- ドラッグストアでの管理薬剤師:2年間
各職務ごとに期間や具体的な役割、成果などを簡潔にまとめることで、採用担当者が理解しやすい職務経歴書が作成できます。重要なポイントやアピールポイントを強調するために、太字や下線を使用しましょう。特定の情報が目立ち、印象に残りやすくなります。
A4用紙1~2枚にまとめると、情報を効率よく取捨選択でき、重要なスキルや経験を優先的に記載することが可能です。
「です・ます」調で簡潔にまとめる
職務経歴書を書く際は、簡潔な文体で「です・ます」調を使用します。採用担当者が容易に理解できるよう、以下のポイントを参考にしてください。
- 結論を明確に述べる
- 理由を説明する
- 具体例を挙げる
明確でわかりやすい表現を使用し、簡潔に要点を伝えることが重要です。一文を短くし、読みやすくすることで、丁寧かつ親しみやすい口調を保てます。
職務経歴書提出前の最終確認ポイント
職務経歴書を提出する前に最終確認を行うことは重要です。
以下のポイントをチェックして職務経歴書の完成度を高めましょう。
- 誤字脱字がないか
- 内容に整合性があるか
- 企業の求める人物像と合っているか
以上のポイントを確認することで、職務経歴書の質を高め、採用担当者に好印象を与えられます。職務経歴書の最終確認を怠らないことが、転職成功への第一歩です。
誤字脱字がないか
誤字脱字があると、注意力が疑われます。名前や日付、企業名などの重要な部分に注意が必要です。
以下の方法で誤字脱字を防ぎましょう。
- 文章全体を丁寧に読み直す
- スペルチェックツールを使用する
- 文法チェックツールを使用する
- 他人に校正を依頼する
- 声に出して読み上げてみる
- 誤字脱字が多い部分に注意する
- 同じ単語やフレーズの繰り返しを避ける
- 文章が長すぎないか確認する
- 各項目ごとに再確認する
- 印刷して確認する
上記の方法を組み合わせると誤字脱字を防ぎ、信頼感のある職務経歴書を提出することが可能です。
内容に整合性があるか
職務経歴書全体で一貫した情報が記載されているか確認します。内容の矛盾は信頼性を損ないます。
以下の点に注意しましょう。
- 職務要約と職務経歴の詳細が一致しているか
- 時系列が正しいか
- 一貫した文体やトーンを使用しているか
- すべての情報が関連性を持っているか
- 不必要な情報や矛盾がないか
上記のポイントを押さえると職務経歴書の信頼性が高まります。
企業の求める人物像と合っているか
応募する企業が求める人物像やスキルに職務経歴書の内容が合致しているかを確認します。
以下のポイントを参考にしてください。
- 企業のミッションやビジョンと一致しているか
- 企業が求めるスキルや資格を持っているか
- 企業が求める経験年数や職務内容を満たしているか
- チームワークやコミュニケーション能力があるか
- 問題解決能力やリーダーシップを発揮できるか
- 企業の文化や価値観に適応できるか
- 目標達成意識が高く、成果を出す能力があるか
上記のポイントの確認で、職務経歴書の質を高め、採用担当者に好印象を与えられます。職務経歴書の最終確認を怠らないことが、転職成功への第一歩です。
» 薬剤師のための魅力的な志望動機の書き方
職務経歴書の書き方でよくある質問
職務経歴書の書き方でよくある質問をまとめました。
- 転職回数が多い場合の対処法は?
- 長期間のブランクがある場合の記載方法は?
- アルバイト・パート経験はどう書く?
転職回数が多い場合の対処法は?
転職回数が多い場合、前向きな理由を説明することが重要です。
以下のポイントを参考にしてください。
- 一貫したキャリア目標を示す
- 短期間の転職でも得たスキルや知識を強調する
- 業界や職種の変遷を明確に説明する
- 転職の多さを経験の豊富さとしてアピールする
- 長く在籍した企業やプロジェクトを強調する
- 転職理由が自分の成長やスキルアップにつながっていることを示す
スキルアップやキャリアの目標に基づく転職であることを強調します。それぞれの職場で具体的に何を学んだかを説明します。自分がどのように成長しキャリアを築いてきたかを詳しく伝えましょう。
転職回数が多い場合でも、前向きな理由と一貫したキャリア目標を示すことで、採用側に好印象を与えられます。
長期間のブランクがある場合の記載方法は?
長期間のブランクがある場合は正直に記載し、以下のポイントを強調することが重要です。
- ブランク期間中に取り組んだ学習や研修を記載する
- ボランティア活動やフリーランスの仕事を具体的に説明する
- 家事や育児など個人的な理由も正直に書く
- ブランク期間があっても意欲的に活動していたことを強調する
- 前職での実績やスキルの維持・向上に努めた点をアピールする
- ブランク期間後の再就職に向けた努力や準備を具体的に示す
上記により、再就職への意欲と準備の姿勢を強調できます。
アルバイト・パート経験はどう書く?
アルバイトやパートの経験も、職務経歴書に記載することが重要です。
以下のポイントを押さえて記載しましょう。
- 雇用形態を明確にする(アルバイト・パート)
- 勤務先の名称と所在地を記載する
- 勤務期間を具体的に示す(年月)
- 担当業務と役割を詳細に記述する
- 獲得したスキルや知識を具体的に挙げる
- どのように業務に貢献したかを説明する
- 正社員経験と区別しつつも、重要な経験をアピールする
- 数字や具体例を用いて成果を視覚化する
- 志望職種に関連性があることを強調する
具体例を以下に示します。
項目 | 内容 |
雇用形態 | アルバイト |
勤務先 | 株式会社〇〇(東京都渋谷区) |
勤務期間 | 2019年4月〜2021年3月 |
担当業務と役割 | レジ打ちを担当し、1日の売上管理を実施 |
獲得したスキルや知識 | 接客スキルを向上させ、クレーム対応も学習 |
業務への貢献 | 売上向上に貢献し、月間優秀社員賞を受賞 |
重要な経験のアピール | アルバイトながらもリーダーとしてチームを団結 |
成果の視覚化 | 売上を前年比120%に伸長 |
志望職種への関連性 | 販売業務で得たコミュニケーション能力を営業職にも活用 |
上記を押さえて書くことで、アルバイトやパートの経験も十分にアピールできます。
まとめ
職務経歴書の作成は、求職活動の重要なステップです。職務経歴書をパソコンで作成し、A4用紙1~2枚に簡潔にまとめることが求められます。誤字脱字や内容の整合性をチェックすることも大切です。
薬剤師の経験を具体的に伝えるためには、調剤薬局や病院、ドラッグストアや製薬会社での業務内容を記述する必要があります。転職回数やブランクがあっても、適切な対処法を知ることで効果的な職務経歴書を作成可能です。
成功するためのポイントを押さえることで、求職活動の成功に役立ちます。
» 薬剤師の面接対策の基本、業種別の対策を解説!