
薬剤師の仕事はやりがいがある一方で、大きなプレッシャーと常に向き合う仕事でもあります。
「ミスが許されない」「患者対応がストレス」「職場の人間関係がつらい」――こうした理由で辞めたいと感じることはありませんか?
私自身、薬剤師として働く中でプレッシャーの原因を整理し、対処法を見つけることで気持ちが楽になった経験があります。
本記事では、薬剤師が辞めたいと感じる主な原因と、そのプレッシャーを軽減する方法を分かりやすく解説します。
「本当に辞めるべきか?続けるべきか?」と悩んでいる方にとって、判断のヒントになれば幸いです。ぜひ最後までお読みください。

コタロ
- 薬剤師9年目・管理薬剤師
- 転職を4度経験
- 副業Webライター×学校薬剤師
公務員»薬局»病院×薬局(ダブルワーク)»薬局(継承予定)
自身の経験や悩みをもとに、転職ノウハウや副業情報などを発信しています。
薬剤師が辞めたいと感じる3つのプレッシャーの原因

薬剤師の仕事には、大きなやりがいがある一方で、「辞めたい」と思うほどの強いプレッシャーを感じる場面も少なくありません。
特に以下の3つは、多くの薬剤師がストレスを抱える要因です。
もし、これらのストレスで体調を崩しそうな場合は、手遅れになる前に職場から距離を置くことも大切です。
職場の人間関係やハラスメント

薬剤師の職場環境は閉鎖的になりやすいため、人間関係のストレスを感じる人は少なくありません。
調剤薬局やドラッグストアは、閉鎖的な空間になってしまう傾向にあり、人間関係もマンネリ化しやすい傾向にあります。
調剤薬局やドラッグストア → 少人数のため、関係がマンネリ化しやすい
病院や製薬会社 → 医師・看護師・他職種との連携が必要で、関係が複雑になりやすい
私自身、病院勤務時代に、薬剤師を軽視するような発言を受けたことがあり、強いストレスをかんじたこともありました。
もちろん、労ってくれる医師・看護師はいましたし、すべての医療スタッフが横柄な態度で接してくるわけではありません。
ただ、人間関係でトラブルが起こってしまうと、精神的に追い詰められた状態に陥ってしまいます。

必要以上の残業を強制的にさせることだって、立派なハラスメントなんです。
管理薬剤師や院長など、上司から高圧的な態度で指示を受けたり、パワハラを受けたりする可能性もゼロではありません。
次のような問題に直面した場合、ひとりで悩みを抱えないようにしましょう。
- 高圧的な態度やパワハラ(管理薬剤師・院長・上司など)
- 長時間残業の強制(暗黙のルール化)
- 逃げ場のない環境による孤独感
信頼できる同僚や上司がいる場合は、早めに相談しましょう。
もし職場内に頼れる人がいない場合は、外部の相談窓口を活用するという選択肢もあります。
お近くの相談窓口は、厚生労働省のホームページで確認できます。



もちろん、私に相談しても大丈夫です。
公式LINEからご相談ください。
患者さんとの対応やクレーム対応


薬剤師の仕事は、処方された薬を提供するだけではなく、患者さんとのコミュニケーションも重要な仕事の1つです。
しかし、患者さんの年齢や性格、抱えている症状によって対応を変えなければならず、それがストレスやプレッシャーにつながることもあります。
よくあるストレスの原因
- 薬剤師との会話を嫌がる患者さん
- 待ち時間が長く、イライラしている患者さん
- 在庫不足による不満やクレーム対応
過去に、在庫がなくすぐに薬を渡せないことを伝えると、「何も置いてない薬局なのね」と捨て台詞を吐かれたこともありました。
こうした患者さんからの言葉を受け止めるしかない立場にいると、心がすり減り、耐え切れないと思うこともあるでしょう。



話を聞いてくれる仲間がいない職場環境では、辞めたいと思うのも無理はありません。
「困った人の助けになりたい」と思っていても、薬剤師も人間です。
患者さんの態度や言葉に傷つくことは、避けられないストレスの一つかもしれません。
インシデント・アクシデント(調剤ミスのプレッシャー)
薬剤師にとって、インシデントやアクシデントがもたらすプレッシャーは計り知れません。
インシデント → 医療現場で「ヒヤリ」としたり「ハッ」とする事例
アクシデント → 医療事故として扱われるすべての事例
病院では、薬剤に関するアクシデントが上位を占めており、ヒヤリ・ハット事例も最も多く報告されています。
» 医療事故情報収集等事業(外部リンク)
調剤薬局でもヒヤリ・ハット事例は多く発生しており、残念ながら調剤ミスによる死亡事故も報告されています。
世間では、薬剤師を軽視する意見もありますが、医療事故を未然に防ぐうえで、薬剤師の果たす役割は非常に大きいといえます。



とはいえ、医療現場では、たったひとつのミスが重大な医療事故につながる可能性があります。
ヒヤリ・ハットやアクシデントが発生すると、必ずレポートを提出しなければなりません。
常にインシデントやアクシデントのプレッシャーを抱えながら働くことは、大きなストレスの原因になります。
薬剤師を辞めたい…10のリアルな理由と体験談
薬剤師が辞めたいと感じる主な原因は、職場の人間関係やハラスメント、患者対応のストレス、インシデント・アクシデントなどです。しかし、それだけが理由ではありません。
長時間労働や給料の低さ、職場環境の悪さなど、働き続けることが負担になる要因はさまざまです。
実際の体験談を交えた詳細な理由については、以下の記事で詳しく解説しています。


薬剤師のプレッシャーを軽減する3つの対処法


「薬剤師、辞めたい」
そう思うほどのプレッシャーを感じているなら、それは環境を見直すタイミングかもしれません。 まずは、一度立ち止まり、以下の方法を試してみてください。



「辞めたい」と感じることは、決して甘えではありません。
責任や後ろめたさを感じるかもしれませんが、気にしないでください。
もし職場や上司が守ってくれないのなら、自分のことは自分で守るしかありません。
休職する


「このまま働き続けるのは限界かもしれない…」そう感じたら、すぐ辞める前に休職を検討するのもひとつの選択肢です。
職場のプレッシャーやストレスから一度離れることで、冷静に今後の働き方を見直せるきっかけがあります。
休職のメリット
- 物理的に職場と距離を置くことで、冷静に判断できる
- ストレスを軽減し、心身を回復させる時間がとれる
- 病気休暇制度を活用すれば、収入を確保しながら休める
病気休暇制度など、公的に認められた制度を利用し、職場との物理的距離を置いてみましょう。
厚生労働省が推奨する制度で、病気や心の不調がある際に休職できる制度です。
働き方改革の一環として設けられた制度のひとつです。
参考:厚生労働省|病気療養のための休暇



国が「病気になったらしっかり休んでください」と言っているのです。
もちろん、病気の中には、うつ病や適応障害などの心の病も含まれます。
気に病む必要もありませんし、働く側に与えられた権利ですから有効に使いましょう。


上司のパワハラに耐え切れず
精神的に病んでしまった…。
ハラスメントの横行や劣悪な労働環境が続くと、心身に少しずつ負担が積み重なり、気づいたときには限界を迎えていることがあります。
特に、強いストレスを感じながら働き続けると、体が拒否反応を示し、突然出勤できなくなるケースも少なくありません。
「朝になると体が動かない」「職場に向かうと吐き気がする」…こうした症状が現れたら、休職を検討しましょう。
休職の手続きと流れ
- 医療機関を受診し、診断書をもらう
- 会社へ休職の申請をする
- 傷病手当金の申請手続きを進める
- 健康保険組合へ申請し、支給が決定
✔ 会社の規定によっては、有給休暇を消化せずに休職できる
✔ 傷病手当金の支給が認められれば、休職中も一定の収入を確保できる
ただし、病気休暇中の給料は会社からの支払いではなく、加入している保険組合から「傷病手当金」として支給されるのが一般的です。
この手当は、通常の給料の2/3に相当する金額が疾病手当金と支給される仕組みになっています。
» 傷病手当金|協会けんぽ(外部リンク)
外部の相談窓口を利用する


もし、上司や職場に相談しても状況が改善されない場合、外部の専門機関に相談するのも有効な方法です。
以下のような場合は相談を検討しましょう。
- 職場でのハラスメントが改善されない
- 長時間労働やサービス残業が常態化している
- 退職を引き止められ、辞めさせてもらえない
各都道府県の労働局には、労働問題に関する専門の相談員が常駐し、無料で相談できます。
ブラック労働やハラスメントの問題を一人で抱え込まず、適切な機関に相談しましょう。
✔ 労働基準監督署(ブラック企業の是正・ハラスメント対策)
✔ 労働相談センター(労働条件やトラブル相談)
✔ 総合労働相談コーナー(都道府県労働局)(パワハラ・セクハラ・解雇・労働問題全般)
✔ みんなの人権110番(法務省)(ハラスメント・人権侵害の相談)


告発のようで罪悪感がある。


バレたときのハラスメント悪化が怖い…。
こうした不安があるかもしれませんが、公的な相談機関はプライバシー保護を順守してくれます。
誰にも知られずに相談することも可能です。
実際の相談事例
知人の薬剤師Kさんの職場は、いわゆるブラック企業で、退職者が続出するほど過酷な労働環境でした。
そこで、パワハラの録音や証拠を外部の相談窓口に提出し、相談したところ、労働基準監督署が立ち入り検査を実施。
その結果、パワハラがなくなり、強制的な残業も撤廃され、働きやすい環境へと改善されたそうです。
労働基準監督署は、労働基準に違反している可能性があると判断した場合、立ち入り調査を行うケースがあります。
労働基準監督署へ相談する場合、証拠となるような録音やハラスメントの内容を正確に記載した文章・日記などがあると、よりスムーズに対応してもらえます。



何かあったときのために、日頃からボイスレコーダーを携帯しています。
ほかの調剤薬局・病院などへ転職する


せっかく努力して取得した薬剤師免許。「辞める」だけが選択肢ではありません。
いまの職場が合わないだけで、あなたにとって働きやすい職場は必ず存在します。
「このまま続けるのは無理かもしれない…」と感じたら、環境を変えることも検討してみましょう。
ひとりで転職活動を始めるのが不安なときは、転職エージェントに相談するのがよいでしょう。



個人的には、ファルマスタッフ
がおすすめです。
転職理由やこれまでの職務経歴、希望する働き方を丁寧にヒアリングし、最適な職場を提案してくれます。
» ファルマスタッフ(外部リンク)
「安心して働ける環境を見つけたい」 という方は、プロと一緒に理想の職場を探してみましょう。
また、私が実際に利用した転職エージェントを紹介する記事もありますので、参考にしてください。


薬剤師を辞めるか迷ったときの判断基準3つ


薬剤師として働き続けるべきか、それとも辞めるべきか。判断する際に重要なのは、以下の3つのポイントです。
薬剤師の仕事は責任が重く、「辞めたい」と感じるプレッシャーも大きいものです。「辞めたい」という気持ちは痛いほど分かります。
しかし、決断を急ぐ前に今の状況を冷静に整理することが大切です。
一度立ち止まり、自分の心と体の状態、そして職場の環境を見つめ直してみましょう。
体調や精神的な限界を感じている
体調を崩したり、強いストレスを感じたりする場合、薬剤師を辞めることも選択肢のひとつです。
これは、仕事のプレッシャーに耐え切れず、心と体が発している危険信号かもしれません。
有給休暇を活用し、一度職場から物理的に離れてみましょう。
十分な休養を取っても改善しない場合は、環境を変えることを真剣に考えるべきタイミングです。



何よりも大事にしなければならないのは、あなた自身です。
体が教えてくれるSOSのサインを、見逃さないようにしましょう。
職場に信頼できる人がいない
職場に信頼できる人がいない場合も、辞めるかどうかを判断する重要なポイントです。
信頼できる同僚や上司がいるだけで、精神的なストレスは軽減されます。



薬剤師はもちろん、医師や看護師など一緒に働くスタッフの中に、価値観の合う人がいるかもしれません。
もし相談できる相手がいれば、一度相談してみてください。
しかし、頼れる仲間が誰もいない状況では、心身の負担が限界に達する恐れがあります。
そのまま無理を続けると、体調を崩したり、メンタルが壊れてしまう可能性もありますので、無理は禁物です。
自分で決断することが重要
何よりも大切なのは、自分自身の意志で「辞める」と決断することです。


両親や友人が退職を勧めてくれたから辞めるんだ…。
このように、他人の意見を理由にして辞めるのはおすすめしません。



あくまでも、あなたの意志と考えのもとで「薬剤師を辞める」と決断することが大切です。
そうでなければ、後悔が残り、次のキャリアにつながる前向きな退職にはならないからです。
どんな理由であれ、最終的に辞めるかどうかは自分自身で決断しましょう。
私が薬剤師を辞めると決めた理由と体験談


最後に、私の退職を決断するまでの体験談を紹介します。
これは、2回目の転職で病院に勤めたときの話です。
退職者が立て続けに発生。ひとり薬剤師へ



ある日突然、薬剤師が立て続けに退職する事態が発生しました。
詳しい内容は伏せますが、人間関係の問題が大きな原因でした。
結果として、私はひとり薬剤師としてすべての業務を担うことに。
担当業務の実態
- セントラル業務
- チーム医療や委員会活動
- 抗がん剤治療のレジメン管理・ミキシング
- DI業務
- 在庫管理・発注業務
在庫管理や発注業務の一部は調剤助手に手伝ってもらいましたが、ほぼすべての業務を一人で対応しなければならず、負担は一気に増大しました。
さらに、急な休みを取ることもできず、業務量は倍以上に膨れ上がり、孤独を抱くようになりました。
この職場環境の大きな変化が退職を考えるきっかけとなりました。



ですが、「周囲に迷惑をかけられない」という思いがあり、すぐに辞める決断はできませんでした。
病院のスタッフに支えられながら勤務続行
救いだったのは、周囲の支えでした。
医師や看護師をはじめ、多くのスタッフが「私がパンクしないように」と気を配り、業務負担を減らすために協力してくれました。



ある医師から「コタロ君が頑張っていたのは僕が証明する」と言ってもらえたことは、大きな励みになりました。
病院のスタッフが私を気遣ってくれたおかげで、孤独感は薄れ、「もう少しだけ頑張ろう」と思えたのです。
しかし、それでも根本的な業務負担の軽減にはつながらず、最後の決定打となる出来事があり、退職を決断しました。
院長・院長夫人からのパワハラが決定打
最終的には、院長と院長夫人からのパワハラ発言が決定打となり、退職を決意しました。
薬剤師の人員不足を解消するよう強いプレッシャーをかけられたり、人間性を否定するような言葉を投げかけられる日々。
ただでさえ、ひとり薬剤師としての重圧がある中、パワハラまで加わり、次第に体に異変が現れました。
現れた症状
- 起き上がれないほどのめまい
- 急に涙が出て止まらない
- 眠れない



自分自身の危険信号に気づかず、気づいたときにはすでに限界を超えていたのだと思います。
病院内のスタッフには助けられましたが、院長と院長夫人の人間性にはどうしてもついていけず、退職を決断しました。
この経験を通じて、薬剤師としてのスキルや経験値が向上したことは確かです。
しかし、それ以上に、自分自身を大切にすることの重要性を痛感した出来事でした。
薬剤師が辞めたいと感じるプレッシャーの原因と対処法【結論】
薬剤師の仕事はやりがいがある一方で、強いプレッシャーや職場環境の問題に悩むことも少なくありません。
私自身、ひとり薬剤師としての負担増加やパワハラによるストレスで、心身の限界を迎えました。
しかし、この経験を通じて、自分の健康と人生を守る選択が何より大切だと痛感しました。
「薬剤師を辞めたい」と感じたら、自分自身を守る行動をとることをおすすめします。
- 休職する
- 外部の相談窓口を利用する
- ほかの調剤薬局・病院などへ転職する
強いプレッシャーに押しつぶされそうになる瞬間は、誰にでもあります。
責任感が強いと、「転職=逃げ」と思うかもしれません。
ですが、あなたを大切にしてくれない職場にこだわる必要はありません。
私は転職を考えたとき、» ファルマスタッフ(外部リンク)に相談しました。
転職理由や希望する働き方を丁寧にヒアリングしてもらい、納得のいく転職ができたと感じています。
もし一人で悩んでいるなら、プロのサポートを活用することで、新しい道が開けるかもしれません。
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