「薬剤師を辞めたい」と思ったのなら、辞めてもいいんです。
周りに相談できない、頼れる人は誰もいない。
そんな中で、頑張ったあなたの心と体は、すでに限界を超えた状態に違いありません。
迷わず、自分自身を守る行動を取ってください!
これまで、十分すぎるほど頑張ってきたのですから、誰も責めることはできないのです。
今回は、あなた自身を守るためにできることを紹介します。
コタロ
【薬剤師を辞めたい】自分を守るためにできる3つのこと
「薬剤師、辞めたい」
そう思ったときにできることは、以下の3つです。
責任や後ろめたさを感じるかもしれませんが、気にしないでください。
職場や上司が守ってくれないのなら、自分のことは自分で守るしかありません。
休職する
休職は、薬剤師を辞める前に取るべき行動としておすすめしたい選択肢のひとつです。
病気休暇制度など、公的に認められた制度を利用し、職場との物理的距離を置いてみましょう。
治療等が必要な疾病等、治療を受けながら就労する労働者をサポートするために付与される休暇のこと。
参考:厚生労働省|病気療養のための休暇
厚生労働省が推進する、働き方改革の中に含まれている制度のひとつになります。
国が「病気になったらしっかり休んでください」と言っているのです。
もちろん、病気の中には、心の病も含まれています。
気に病む必要もありませんし、働く側に与えられた権利ですから有効に使いましょう。
上司のパワハラに耐え切れず
精神的に病んでしまった…。
ハラスメントの横行・劣悪な労働環境など、さまざまな要因によって少しずつ心は壊れていきます。
そのため、自分で気づいたときには体が拒否反応を起こしてしまうことも少なくありません。
こうした場合、それ以上の無理は危険です。
すぐに医療機関を受診し、診断書を書いてもらいましょう。
病気休暇が適用されると、有給消化の必要はありません。もちろん、給料も支給されます。
ただし、会社から給料として支払われるのではなく、加入している保険組合から疾病手当金として支給されるのが一般的です。
この際、給料の2/3に相当する金額が、疾病手当金と支給される点を覚えておきましょう。
» 傷病手当金|協会けんぽ(外部リンク)
外部の相談窓口を利用する
不当な理由があるのにも関わらず、上司・上層部にかけ合ってもらえないような場合、労働基準監督署へ相談することを検討してください。
各都道府県の労働局には、労働問題に関する専門の相談員が所属しています。
こうした外部の相談窓口を利用し、ハラスメント・ブラック労働などを相談するのもひとつの方法です。
告発のようで罪悪感がある。
バレたときのハラスメント悪化が怖い…。
こうした不安があるかもしれませんが、プライバシー保護を順守してくれます。
知人の薬剤師Kさんの職場は、いわゆるブラック企業で、退職者が続出していたそうです。
そのような中、パワハラの録音・記録を外部の相談窓口へ持っていき相談したところ、労働基準監督署が立ち入り検査を行ったそうです。
その後、パワハラは無くなり、強制的な残業も無くなって働きやすい環境になったと話していました。
このように、労働基準に違反している可能性があると判断されると、労働基準監督署等の立ち入り検査を行うケースがあります。
労働基準監督署へ相談する場合、証拠となるような録音やハラスメントの内容を正確に記載した文章・日記などがあるのがベストです。
何かあったときのために、日頃からボイスレコーダーを携帯しています。
ほかの調剤薬局・病院などへ転職する
せっかく、努力して手に入れた薬剤師免許ですから、薬剤師は辞めずにほかの職場を探すことも考えてみましょう。
いまの職場だけが全てではありません。
まだ見つかっていないだけで、自分に合った職場は必ず存在します。
ひとりで転職活動を始めるのが不安なときは、転職エージェントに相談するのがよいでしょう。
個人的には、ファルマスタッフ
がおすすめです。
転職理由やこれまでの職務経歴、希望する働き方など、丁寧に聞き取りしてくれます。
» ファルマスタッフ(外部リンク)
あなたが安心して働けるところを、一緒に探してもらいましょう。
私が利用したことのある転職エージェントを公開している記事もありますので、こちらを参考にしてください。
プレッシャーを感じる3つの場面
薬剤師を辞めたい。そう強く思うほどプレッシャーを感じる場面は多くありません。
もし、体調不良が見られるような場合、手遅れになる前に職場から距離を置くようにしてください。
職場の人間関係やハラスメント
薬剤師として働く上で、人間関係は非常に重要です。
調剤薬局やドラッグストアは、閉鎖的な空間になってしまう傾向にあり、人間関係もマンネリ化しやすい傾向にあります。
病院や製薬会社の場合、薬剤師はもちろん、医師や看護師などのスタッフと上手にやり取りしなければなりません。
病院勤務時代の経験談ですが、薬剤師を軽視するような発言を受け、傷ついたこともありました。
もちろん、労ってくれる医師・看護師はいましたし、すべての医療スタッフが横柄な態度で接してくるわけではありません。
ただ、人間関係でトラブルが起こってしまうと、精神的に追い詰められた状態に陥ってしまいます。
必要以上の残業を強制的にさせることだって、立派なハラスメントなんです。
管理薬剤師や院長など、上司から高圧的な態度で指示を受けたり、パワハラを受けたりする可能性もゼロではありません。
» ハラスメントの定義|厚生労働省(外部リンク)
薬剤師の職場は狭いため、逃げ場がなく、孤独感を味わうこともあるでしょう。
もし、人間関係トラブルに巻き込まれたり、ハラスメントの被害に合ったりしたらひとりで悩みを抱えないでください。
信頼できる同僚や上司へ相談し、早急に対処してもらいましょう。
もし、頼れる人が近くにいない場合は、外部の相談窓口を利用してください。お近くの相談窓口は、厚生労働省のホームページより調べられます。
もちろん、私に相談しても大丈夫です。
公式LINEからご相談ください。
患者さんとのやり取り
ときに、患者さんとの対応がプレッシャーになることもあります。
性別や年齢はもちろん、抱えている症状も人それぞれ異なるため、接し方も変えなければなりません。
患者さんによっては、薬剤師との対応を毛嫌いする方もいますし、待ち時間が長いことに苛立つ方もいます。
在庫がなく、すぐに薬を渡せないことを伝えると、「何も置いてない薬局なのね」と捨て台詞を吐いて帰られた方もいました。
患者さんからの言葉を受け止めるしかない立場ではありますが、心ない言葉を投げつけられると、耐え切れないと思うこともあるでしょう。
話を聞いてくれる仲間がいない職場環境では、辞めたいと思うのも無理はありません。
困った人の助けになりたい、そう思っていても、薬剤師も人間です。
患者さんの態度・言葉によって傷つくことは、避けて通れないのが薬剤師の一面でしょう。
インシデント・アクシデント
インシデントやアクシデントによるプレッシャーは非常に大きなものです。
医療が行われる場所で、「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりするような事例(ヒヤリ・ハット事例)をインシデントといいます。
アクシデントは、医療事故として扱われるすべての事例のことを指します。
» インシデント・医療事故の定義について(外部リンク)
病院では、薬剤関連のアクシデントが上位に位置しており、ヒヤリ・ハット事例は最も多く方向くされている状況です。
» 医療事故情報収集等事業(外部リンク)
調剤薬局でも、ヒヤリ・ハット事例は多く報告されており、残念ながら調剤ミスによる死亡事故も報告されています。
世間では、薬剤師を軽視するような意見も散見されますが、医療事故になる前に食い止めている薬剤師の役割は大きいのではないでしょうか。
とはいえ、ひとつのミスが重大な医療事故につながる可能性があるのが医療の現場です。
ヒヤリ・ハットまたはアクシデントが発生した場合、レポートを提出しなければなりません。
常日頃、インシデントやアクシデントのプレッシャーを感じながら仕事を続けるのは、大きなストレスを感じる要因となります。
本当に薬剤師を辞めるべき? 3つのポイント
薬剤師を辞めるべきかどうか、重要なのは以下の3つです。
薬剤師のプレッシャーに耐え切れず、「辞めたい」という気持ちは痛いほど分かります。
ですが、ここで一度だけ立ち止まり、現在の状況を冷静に分析してみましょう。
体調や精神的な限界を感じている
体調や精神的な限界を感じている場合、薬剤師を辞めるのもひとつと言える状況です。
これは、プレッシャーやストレスに耐え切れず、自分自身が発している危険信号になります。
有給などを利用し、物理的に職場から離れるのも良いですが、それでも改善の兆しが見えないなら薬剤師を辞めるのも仕様がありません。
何よりも大事にしなければならないのは、あなた自身です。
体が教えてくれるサインは、決して見逃さないようにしてください。
職場に信頼できる人がいない
職場に信頼できる人がいない場合も、辞めるかどうかを判断するポイントです。
信頼できる同僚や先輩・上司などがいるだけで、精神的な余裕は変わってきます。
薬剤師はもちろん、医師や看護師など、一緒に働くスタッフの中にいるかもしれません。
もし、職場内にあなたと価値観が近い方がいるのであれば、一度相談してみてください。
反対に、頼れる仲間がいない場合、もうひと踏ん張りするのは難しいかもしれません。
体調を崩してしまったり、メンタルが壊れたりしてしまう可能性もありますので、無理は禁物です。
自分で決断することが重要
何よりも大切なのは、自分自身の意志で「辞める」と決断することです。
両親や友人が退職を勧めてくれたから辞めるんだ…。
このように、他人任せの理由で辞めるのはおすすめしません。
あくまでも、あなたの意志・考えのもとで、「薬剤師を辞める」と決断しましょう。
そうでなければ、後悔が残ってしまい、次のキャリアにつながる前向きな退職にはならないからです。
そのため、いかなる理由があっても、辞めるかどうかは自分自身で決断してください。
【筆者の体験談】退職を決断するまで
最後に、私の退職を決断するまでの体験談を紹介します。
これは、2回目の転職で病院に勤めたときの話です。
退職者が立て続けに発生。ひとり薬剤師へ
ある日突然、薬剤師が立て続けに退職する事態が発生しました。
詳しい内容は伏せますが、人間関係が最大の理由です。
残された私は、ひとり薬剤師として業務をこなすことを余儀なくされます。
- セントラル業務
- チーム医療や委員会活動
- 抗がん剤治療のレジメン管理・ミキシング
- DI業務
在庫管理・発注業務の一部は、調剤助手に手助けしてもらいましたが、ほぼすべての業務を自分で対応しなければなりません。
急な休みを取ることもできず、業務量は倍以上に膨れ上がり、孤独を感じる状況が増えていったのです。
この職場環境の大きな変化が退職を考えるきっかけとなりました。
ですが、周囲に迷惑をかけられないという思いから、すぐに辞める決断はできませんでした。
周囲のスタッフに支えられながら奮起
救いだったのは、周囲の支えでした。
医師や看護師、多くのスタッフは、「私がパンクしないように」と気を配ってくれ、業務負担が減るように協力してくれたのです。
医師から「コタロ君が頑張っていたのは僕が証明する」と言ってもらえたのは、大きな励みになりました。
病院のスタッフが私を気遣ってくれたことで、孤独感は薄れ、「もう少しだけ頑張ろう」と思えたのです。
それでも、根本的な業務の負担軽減にはつながらず、最後の決定打があって退職を決断しました。
院長・院長夫人からのパワハラが決定打
最終的には、院長と院長夫人から受けたパワハラ発言で退職を決断しました。
薬剤師の人員不足を解消するよう、プレッシャーをかけてきたり、人間性を否定するような言葉を投げかけられたりしました。
ひとりで仕事をこなすプレッシャーに加え、パワハラ発言を受けるようになり、以下のような体の異変が現れたのです。
- 起き上がれないほどのめまい
- 急に涙が出て止まらない
- 眠れない
自分自身からの危険信号に気づかず、気づいたときには限界を超えていたのだと思います。
病院内のスタッフに助けられてきましたが、院長・院長夫人に対する人間性についていけないと感じ、退職を決断したのです。
ここでの経験は、薬剤師としてのスキルや経験値を底上げしてくれるものでした。
そして、自分自身を大切にすることの重要性を痛感した経験でもあります。
まとめ
「薬剤師を辞めたい」と感じたら、自分自身を守るための行動を取ってください。
- 休職する
- 外部の相談窓口を利用する
- ほかの調剤薬局・病院などへ転職する
辞めたいと思う程、強烈なプレッシャーに押しつぶされそうになる瞬間は、少なからずあります。
責任感が強いと、転職=逃げの選択肢のように思うかもしれません。
ですが、あなたを大切にしてくれない職場にこだわる必要はないのです。
何よりも、自分をいたわってあげましょう。
前向きな気持ちになれたら、次のステップについて考えてみてください。